会長挨拶
会長挨拶
日本村落研究学会会長 靍 理恵子
前立川雅司会長を引き継いで、2026年より会長となりました。2年間どうぞよろしくお願いいたします。
私は、1988年大学院博士課程2年で入会し、その年の1988年度第36回村落社会研究会大会(神奈川県大井町、いこいの村足柄)にて、自由報告(「ムラを支える諸要因の分析 ―長崎県壱岐郡石田町本村の事例―」)をしました。それが私の「村研デビュー」です。以来40年弱の長期にわたり、研究を続けてきました。その時の大会印象記は、立川雅司会員、徳野貞雄会員、大友由紀子会員の3人が執筆されています。その当時は、皆、「若手」だったのですね。
さて、2026年正月早々、国際秩序を大きく揺るがす出来事が起きました。既にそれ以前から国内外では力による現状変更、「新しい戦前」という社会的空気の広がりが起きています。こうした状況下、本学会の使命は何だろうかと改めて思う次第です。
新たに何かを始めるというよりは、これまでを振り返り、大事にすべきことを再確認したいと思います。1つめは、現場との緊張感を持つ研究です。今、何を問うべきかを自分のフィールドを足場に常に問うことが求められています。例えばそれは社会課題に応える、あるいは働きかけるような研究かもしれません。また、私の専門は社会学と日本民俗学ですが、人間の理解,ムラとは何かを経済・文化・社会・自然等をトータルに捉えた生活という観点から見ていく、楽しみや喜び、悲しみ等、人々が何を思い、何を大事にしながら人と人のつながり、自然への働きかけを行ってきたかを明らかにすることが、現代社会に生きる人々に本当の意味で役に立つ答えを出すことができると考えています。
それは安易に政府や行政に迎合するような姿勢ではないでしょう。そして、そのためには他の地域や国々との比較、歴史的研究の視点が不可欠です。
2つめは、自分の研究がタコツボ化しないために、また本学会の研究成果を他の国や地域の人々と共有し、議論を深めていくために、国際化を意識することです。日本を主なフィールドとしている会員、海外研究をしている会員、そのどちらにも必要な姿勢です。そこから個別性、普遍性、特殊性が浮かび上がってくるからです。
最後に、研究は一人ではできません。先人たちの肩の上に私たちの研究があります。本学会でのタテのつながり、ヨコのつながりが若い会員からベテランの会員までお互いの研究に刺激を与え合うことがこれまでもたくさんありましたし、今後もそれが期待されます。地区研究会、大会、村研ジャーナル、年報、その他インフォーマルなつながりをもっともっと活用して欲しいと思います。この学会を足場に、あるいは居場所にしてそれぞれが意味のある問いを立て、議論していくことがこれからも続くように、微力ではありますがこの2年間頑張りたいと思います。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。